自宅での緩和ケア|家族ができること7つと相談先|さいたま市南区

監修者 國﨑正造(医療法人社団川田会 理事長)

監修:國﨑正造(医療法人社団川田会 理事長) / 川田会 在宅診療部 在宅医療コラム

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自宅での緩和ケアで家族ができることは、痛みや体調の変化に気づいて訪問診療医・看護師に伝え、本人の希望を尊重して寄り添うことです。専門的な処置は医療者が担い、ご家族は「気づいて伝える」役割に徹するだけで、在宅での症状コントロールは大きく改善します。さいたま市南区の川田クリニック 在宅診療部(医療法人社団 川田会)が、家族が今日からできる7つの関わり方から準備のタイミング、相談窓口までを解説します。

緩和ケアを自宅で行うとはどのようなことですか?

緩和ケアを自宅で行うとは、痛みやつらい症状をやわらげる医療・ケアを、入院ではなくご自宅で受けることです。訪問診療の医師と訪問看護師が定期的にご自宅を訪れ、症状のコントロールと日常生活の支援を行い、ご家族は住み慣れた場所で本人らしい時間を一緒に過ごせます。医療保険による訪問診療と、要介護認定を受けていれば介護保険によるサービスを組み合わせて利用できる点が特徴です。

対象となるのは、がんの終末期だけでなく、心不全や呼吸不全、神経難病など、痛みや息苦しさ、だるさといった症状を伴う病気全般です。40歳以上65歳未満の方は末期がんを含む特定16疾病に該当すれば介護保険サービスの対象になり、65歳以上の方は原因を問わず要介護認定を受ければ利用できます。訪問診療は医療保険が適用され、自己負担割合は年齢や所得により1〜3割です。院内で受けていた点滴や酸素投与、経管栄養などの医療管理も、体制が整えば自宅で継続できる場合があります。

療養の場 医療の関わり方 家族の関わり こんな方に向く
自宅 訪問診療医・訪問看護師が定期訪問+緊急時対応 日常のケアを家族が担う場面が多い 住み慣れた環境を優先したい
病院(緩和ケア病棟等) 常時医療スタッフが常駐 面会中心 症状コントロールを最優先したい
施設(介護施設等) 提携医療機関の訪問診療等 施設スタッフと分担 医療的ケアと生活支援の両立を施設に委ねたい

自宅での緩和ケア、家族が今日からできることは?

自宅での緩和ケアで家族が今日からできることは、①症状の変化に気づいて伝える、②日常のケアで手を貸す、③専門的な処置は無理にやろうとせず医療者に任せる、という3つの役割に整理できます。資格や特別な道具がなくても始められる具体的な行動を、下記に7つの例としてご紹介します。専門的な処置はできなくても、日々の小さな気づきと手助けの積み重ねが、在宅での症状コントロールを大きく支えます。「全部自分でやらなければ」と思う必要はありません。

観察して伝える

できることは3つあります。①食事量・排泄・睡眠時間・表情の変化をメモに残し、次の訪問診療・訪問看護の際に伝えること。痛みは本人と一緒に「10段階でどのくらいか」を確認する方法が広く用いられており、数字で記録すると薬の調整がしやすくなります。②痛みを我慢させず「つらい」と言いやすい雰囲気をつくること。③本人が望む過ごし方や治療の希望を否定せず、まずそのまま聞く姿勢を持つことです。

日常のケアで手伝えること

資格や特別な道具がなくても、今日から試せる日常ケアがあります。

  • ④口が乾いているときは、スポンジブラシを水で湿らせて口の中を優しく拭う口腔ケアで、不快感をやわらげられます。
  • ⑤同じ姿勢が続くと褥瘡(床ずれ)のもとになるため、クッションを差し込んで体の一部にかかる圧を分散します(体位変換・除圧)。
  • ⑥食欲が落ちているときは無理に食べさせようとせず、量よりも本人が食べたいと思うものを少量から優先してください。
  • ⑦薬の飲み忘れがないか声をかけて確認し、錠剤が飲み込みにくくなってきたら自己判断で調整せず訪問看護師に相談してください。

やらなくてよいこと(医療者が担う範囲)

点滴の管理や医療用麻薬の量の調整、褥瘡の処置、呼吸状態の専門的な評価などは訪問診療医・訪問看護師が担う範囲で、ご家族が判断・実施する必要はありません。「これは自分がやるべきか」と迷ったときほど、抱え込まず次の訪問時や電話で率直に相談してください。家族の役割は治療そのものではなく、変化に気づいて伝えることに徹すれば十分です。

夜間・急変時はどう対応すればいいですか?

夜間や休日に体調が急変したときは、まず訪問診療のクリニックが案内している緊急連絡先に電話をすることが基本です。在宅緩和ケアに対応するクリニックの多くは、計画的な定期訪問に加えて24時間の連絡体制を整えており、電話で状況を伝えることで、救急搬送が必要か、自宅で経過を見てよいかの判断を医師と一緒に行えます。

あらかじめ「急変時にどこまでの対応を希望するか」を医師・家族間で話し合っておくと、いざというときに慌てずに済みます。たとえば、痛みが強くなったときの頓服薬の使い方、呼吸が苦しくなったときの体位の工夫などは、事前に訪問看護師から説明を受けておくと落ち着いて対応できます。連絡先の電話番号は冷蔵庫や電話のそばなど、家族全員がすぐ見られる場所に貼っておくことをおすすめします。

日中のご相談窓口は、平日9:00〜17:00の048-606-4219です。夜間・休日の連絡方法については、訪問診療を開始する際にご家族へ個別にご案内しますので、契約時に必ず確認しておいてください。

息を引き取ったと思われるとき

ご本人の呼吸が止まったように見えても、慌てて119番通報する必要はありません。在宅で訪問診療を受けている場合は、まず在宅医の緊急連絡先に電話をして状況を伝えることが基本の流れです。救急車を呼んで搬送されると、かえって本人が望んでいた自宅での看取りがかなわなくなることがあります。看取りの際の連絡体制やその後の流れは、訪問診療を始める段階で主治医とあらかじめ取り決めておくと、いざというときにご家族が落ち着いて行動できます。

在宅緩和ケアの準備はいつから始めればいいですか?

準備は「症状が落ち着いている今」から始めるのが理想です。急に体調が悪化してから在宅医療への切り替えを検討すると、医師探しや制度手続きに時間がかかり、本人がつらい思いをする期間が延びてしまうことがあります。診断や病状の見通しが伝えられた段階で、一度在宅医療について情報収集しておくと、いざというときに落ち着いて選択できます。

  • 症状が落ち着いている時期:在宅医療について情報収集し、訪問診療クリニックへ相談してみる
  • 入院先で退院の話が出た時期:病院の地域医療連携室に在宅移行を相談し、要介護認定を申請する(65歳以上、または40〜65歳で特定16疾病に該当する場合)
  • 訪問診療を始める前:本人がどこまでの医療を望むかを家族で共有しておく
  • 訪問診療を始めた後:訪問看護・訪問介護など必要なサービスを状況に応じて追加調整する

このタイムラインどおりに進む家庭ばかりではありませんが、「早めに動くほど選択肢が残る」という点は共通しています。介護保険の要介護認定は申請から認定まで一定の日数を要するため、症状が進んでから慌てて申請すると、サービス開始まで本人がつらい期間を過ごすことになりかねません。

医療用麻薬は使って大丈夫ですか?

医療用麻薬(モルヒネなど)は、医師の管理のもとで痛みや呼吸苦をやわらげる目的で使用する場合、依存症になったり寿命を縮めたりする心配はほとんどないとされています。「意識がなくなるのでは」「中毒になるのでは」という不安を持つご家族は多いですが、これは治療目的で医師の管理下に使う医療用麻薬と、依存が問題になる不正使用とでは仕組みが異なります。量の調整は医師が行い、痛みが落ち着けば減量・中止することもできます。

定時で使う薬とは別に、痛みが強くなったときに追加で使う「頓服(レスキュー)」が処方されることがあります。頓服の使い方はあらかじめ訪問看護師・医師から説明を受け、使うタイミングや量の目安をメモしておくと安心です。頓服を使う回数が増えてきた、効きが悪くなってきたと感じたときは、量を自己判断で増減させず、次の訪問を待たずに訪問看護師へ電話で相談してください。痛みを我慢させることのほうが、心身への負担は大きくなります。

費用はどのくらいかかりますか?

在宅緩和ケアの費用は、公的医療保険と介護保険の仕組みの範囲内で決まり、自己負担割合は医療保険が年齢・所得に応じて1〜3割、介護保険は原則1割(一定以上の所得がある方は2〜3割)です。訪問診療にかかる医療費と、訪問介護・福祉用具レンタルなど介護保険サービスの費用は別会計で、それぞれの制度の自己負担割合が適用されます。

自己負担には高額療養費制度や高額介護サービス費制度があり、一定額を超えた分は払い戻しの対象になる仕組みが公的に用意されています。金額は世帯の所得区分や利用したサービスの内容によって変わるため、この記事では一般的な仕組みの説明にとどめます。

月にどのくらいの負担になるか見当をつけたい場合は、初回のご相談時に①希望する訪問頻度(週1回か月2回かなど)、②医療保険の自己負担割合、③想定される介護保険サービスの利用内容、の3点を伝えていただくと、おおよその概算を出しやすくなります。訪問診療にかかる制度上の自己負担については、ご相談時に個別にご説明します。

さいたま市南区・南浦和で在宅緩和ケアを相談できる窓口

さいたま市南区で在宅緩和ケアの相談先を探すときは、主に3つの経路があります。

  • 訪問診療クリニックに直接相談する:気になるクリニックがあれば、電話やウェブフォームで直接問い合わせる方法です。
  • 入院中であれば病院の地域医療連携室に相談する:退院後の在宅療養について、在宅医への紹介を仲介してもらえます。
  • ケアマネジャー・地域包括支援センターに相談する:介護保険サービスの調整とあわせて、在宅医療につながる窓口を案内してもらえます。最新の連絡先は各機関の公式サイトでご確認ください。

川田クリニック 在宅診療部(医療法人社団 川田会)は南浦和駅西口から徒歩4分の場所にあり、南浦和・浦和・武蔵浦和・蕨エリアを中心に訪問診療を行っています。

項目 内容
名称 川田クリニック 在宅診療部(医療法人社団 川田会)
所在地 〒336-0018 埼玉県さいたま市南区南本町2-22-2
電話番号 048-606-4219(在宅医療のご相談専用)
受付時間 平日 9:00〜17:00
休診日 土曜・日曜・祝日
アクセス JR京浜東北線・武蔵野線 南浦和駅 西口 徒歩4分
相談方法 電話またはウェブの問い合わせフォーム

外来から訪問診療まで同じ医療法人が切れ目なく担当しているため、これまで川田クリニックに通院していた方はもちろん、他院にかかっていた方からのご相談も歓迎しています。日本神経学会認定の神経内科専門医が常勤医師として在籍しており、神経難病を含む幅広い病状の在宅診療に対応できる体制です。ケアマネジャーや病院の連携室からの紹介・相談も随時受け付けており、ウェブの問い合わせフォーム(https://kawata-zaitaku.com/contact.html)からもご連絡いただけます。

家族だけで抱え込まずに済む方法はありますか?

あります。在宅緩和ケアは家族だけで担うものではなく、訪問診療医・訪問看護師・ケアマネジャー・訪問介護スタッフなど複数の専門職がチームとして関わる前提で制度が設計されています。「家族が全部やらなければ」と抱え込む必要はなく、できないこと・つらいことは遠慮なくチームに伝えることが、本人にとってもよい結果につながります。

介護保険サービスを組み合わせれば、訪問介護による身体介助や、短期間施設に預けるショートステイなど、家族の休息(レスパイト)にあたる仕組みも利用できます。きょうだいや親族間で役割を分担する際は、通院・訪問対応の担当、経済的な負担の分担、記録の共有方法を早めに話し合っておくと、後々の行き違いを防げます。もし「今のケア体制がしんどい」と感じたら、次の訪問診療の際に率直に医師や看護師へ伝えてください。ケアプランの見直しや、利用するサービスの追加を検討できます。

よくある質問

緩和ケアは終末期だけのものですか?

いいえ、緩和ケアは終末期に限らず、がんの治療中や心不全・呼吸不全など慢性の病気で痛みやつらい症状がある段階から受けられる医療です。治療と並行して痛みや息苦しさをやわらげる目的で導入されることも多く、「最後の手段」ではなく「つらさを減らすための選択肢」として早めに相談してよいものです。

訪問診療と往診はどう違いますか?

訪問診療は、あらかじめ計画を立てて医師が定期的(たとえば週1回・月2回など)にご自宅を訪れる診療で、往診は体調急変時などに単発で医師が駆けつける診療です。在宅緩和ケアでは、この二つを組み合わせ、計画的な定期訪問で症状を安定させながら、急変時には随時対応する体制が一般的です。

家族が仕事をしながらでも在宅緩和ケアはできますか?

可能です。訪問診療・訪問看護・訪問介護などのサービスを組み合わせることで、家族が終日つきっきりでいなくても在宅療養を続けられる体制を組めます。日中は訪問介護やデイサービスを利用し、夜間や休日に家族が関わる形にするなど、働き方に合わせてケアプランを調整することができます。

介護保険と医療保険、どちらを使えばいいですか?

訪問診療など医療行為にあたるものは医療保険、訪問介護や福祉用具のレンタルなど生活支援にあたるものは介護保険が適用されるのが基本的な仕組みです。実際にはケアマネジャーが両方の制度を踏まえてケアプランを組むため、ご家族が個別に振り分けを判断する必要はありません。

きょうだいが遠方にいる場合、何をしておくとよいですか?

本人の病状や希望している医療の方針、緊急連絡先を共有のメモやメッセージグループにまとめておくと、急な連絡があっても状況をすぐ把握できます。定期的にオンラインで訪問診療医・看護師からの説明を聞く機会を作ってもらえないか相談するのも一つの方法で、遠方でも「知らないまま取り残される」不安を減らせます。

まとめ

自宅での緩和ケアは、訪問診療医・看護師とご家族がチームになって、住み慣れた自宅で症状をやわらげながら過ごすための医療です。要点は3つ、①家族の役割は完璧な看護でなく「変化に気づいて伝える」ことと口腔ケアなど今日からできる7つの日常ケアであること、②準備は症状が落ち着いている早い段階から始めると選択肢が残ること、③医療用麻薬や費用への不安は自己判断せず相談してよいことです。さいたま市南区・南浦和エリアでご不安がある場合は、川田クリニック 在宅診療部(048-606-4219)またはウェブの問い合わせフォームまでお気軽にご相談ください。

院長・内科医國﨑正造からのコメント

在宅での緩和ケアでは、ご家族が「自分は何もできていないのでは」と自分を責めてしまう場面をよく見ます。実際には、そばにいて変化に気づき、私たちに伝えていただくことそのものが治療の判断材料になっています。医療用麻薬への不安もよく聞かれますが、正しく使えば怖いものではありません。ひとりで抱え込まず、遠慮せずチームを頼っていただきたいというのが、日々の診療で感じることです。

参考文献

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を代替するものではありません。症状がある場合は医療機関を受診してください。