訪問診療とは?往診・通院との違いと費用目安をわかりやすく解説

監修者 國﨑正造(医療法人社団川田会 理事長)

監修:國﨑正造(医療法人社団川田会 理事長) / 川田会 在宅診療部 在宅医療コラム

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訪問診療とは、通院が難しくなったご本人のご自宅や施設に医師が定期的に訪問し、診察・薬の処方・日々の健康管理を行う医療です。体調急変時にその都度駆けつける往診とは異なり、あらかじめ立てた計画に沿って月1〜2回程度、継続的に伺う点が特徴です。要介護状態の方や独居の高齢者、末期がん・神経難病の方などに向いており、公的医療保険が適用されるため自己負担は1〜3割で済みます。

訪問診療とは?図解でわかりやすく解説

訪問診療とは、通院が難しい方のもとへ医師が定期的に訪問し、計画的な医療管理を行う仕組みを指します。厚生労働省の在宅医療の枠組みでは、24時間365日の往診・訪問看護の連絡体制を整えた医療機関を『在宅療養支援診療所』、複数の医師・医療機関が連携してバックアップ体制を敷く医療機関を『機能強化型在宅療養支援診療所』として区分し、評価する制度が設けられています。こうした体制のもとで、内科的な慢性疾患の管理から末期がんの緩和ケア、認知症の在宅診療、在宅酸素・経管栄養などの医療管理、看取りまで幅広く対応するのが訪問診療です。対象になりやすいのは要介護状態にある方や独居の高齢者、通院そのものが大きな負担になっている方などで、医師・看護師・ケアマネジャーがチームで支える点も特徴です。

往診と訪問診療の関係をシンプルな図で示すと、次のようなイメージです。

【往診】体調が急に悪化 → ご家族が連絡 → 医師が単発で駆けつける

【訪問診療(例:月2回訪問の場合)】
1回目訪問 → (2週間後)2回目訪問 → (2週間後)3回目訪問 → ・・・
           ↑
 この計画的な訪問とは別に、体調急変時は「往診」で対応する医療機関が一般的です

訪問診療と往診の違いは何ですか?

訪問診療と往診の最大の違いは「計画性」です。訪問診療は医師があらかじめ診療計画を立て、たとえば2週間に1回、月2回といった決まったスケジュールで自宅や施設を訪れ、血圧測定・血液検査・服薬管理などを継続的にチェックする医療です。一方往診は、発熱や急な体調悪化など予定外の出来事が起きたときに、その都度連絡を受けて医師が駆けつける単発の医療で、いわば外来の「代わりに来てもらう」形に近いイメージです。実際の在宅医療の現場では、訪問診療で普段の健康状態を計画的に管理しながら、体調急変時には同じ医療機関が往診でも対応できる体制を組み合わせているケースが一般的です。両方に対応できるかどうかは医療機関によって異なるため、相談時に24時間対応の体制があるかを確認しておくと安心です。

通院と訪問診療、どちらが負担が少ない?

一般的な通院と比べると、訪問診療は移動や待ち時間にかかる体力的な負担を大きく減らせる点が最大のメリットです。高齢の方の通院では、着替え・移動・院内での待ち時間を含めると半日近くかかることも珍しくなく、付き添うご家族の負担も重くなりがちです。訪問診療であれば、医師が自宅や施設まで来るため、この移動・待ち時間の負担がほぼゼロになります。一方で、訪問診療は訪問できる回数や時間帯があらかじめ決まっているため、通院のように「思い立ったときにすぐ診てもらう」自由度は下がります。どちらが適しているかは本人の体力・認知機能・付き添いの有無によって変わるため、下記の比較を参考にしてください。

比較項目 通院 訪問診療
体力的負担 移動・待ち時間で半日程度かかることも ほぼなし(医師が自宅・施設へ訪問)
診察頻度 本人の希望で随時 月1〜2回など計画的な頻度
緊急時対応 救急外来を別途受診 24時間対応体制がある医療機関も
向いている方 自力で移動でき、体調が安定している方 通院が体力的に難しい方、要介護の方

訪問診療の対象になるのはどんな人?チェックリストで確認

訪問診療の対象になるのは、医学的に「通院が困難」と判断される方で、年齢だけで決まるものではありません。具体的には、要介護認定を受けてADL(日常生活動作)が低下している方、独居で通院の付き添いを頼める家族がいない方、末期がんや神経難病などで在宅療養を選んだ方、認知症が進み外来受診自体が難しくなった方、在宅酸素療法や経管栄養など医療的な管理が日常的に必要な方などが代表的です。以下のチェックリストで1つでも当てはまれば、訪問診療の相談対象になり得ます。

  • 一人での歩行や移動が難しくなってきた
  • 通院の付き添いを頼める人が近くにいない
  • 認知症が進み、外来での問診がスムーズにいかない
  • がんの終末期や神経難病などで在宅療養を希望している
  • 在宅酸素・経管栄養など日常的な医療管理が必要
  • 施設に入居していて嘱託医のような定期診療を希望している

迷う場合は「対象になるかどうか」だけでも、ケアマネジャーや当院(川田会 在宅診療部)に相談いただければ、状況をお伺いした上でご案内できます。

訪問診療の費用はいくらくらいかかりますか?

訪問診療は自由診療ではなく公的医療保険が適用される医療のため、費用は年齢や所得に応じた自己負担割合(1〜3割)で決まります。75歳以上の後期高齢者医療制度の対象者であれば多くの場合1割負担、現役並み所得がある方は2〜3割負担となり、これに訪問診療特有の管理料や必要な処置・検査の点数が加わる仕組みです。目安として、月2回程度の定期訪問の場合、公的な診療報酬点数に基づく一般的な自己負担額は、1割負担の方で月々概ね5,000円〜1万5,000円程度、3割負担の方で月々1万5,000円〜4万5,000円程度とされています(訪問回数や必要な処置内容によって変動します)。要介護認定を受けている方は訪問診療(医療保険)と訪問看護・訪問介護(介護保険)を組み合わせて利用するケースが多いですが、介護サービスの利用枠を圧迫せず、医療費は別に計算される点も押さえておきたいポイントです。より詳しい費用の考え方は費用についてのページでご確認いただくか、お電話・問い合わせフォームからご相談ください。

さいたま市南区・南浦和で訪問診療を探すには

さいたま市南区や南浦和・浦和・武蔵浦和・蕨エリアで訪問診療を探す場合、まず確認したいのは「対応エリアに含まれているか」と「外来から訪問診療まで同じ医療機関で継続して診てもらえるか」の2点です。この地域は医療機関の選択肢自体は少なくありませんが、外来診療所と訪問診療専門クリニックが分かれているケースも多く、その場合は普段の主治医と訪問診療の医師が別になり、情報共有に手間がかかることがあります。当院(川田会 在宅診療部)は、さいたま市南区を拠点に南浦和・浦和・武蔵浦和・蕨エリアへ訪問診療を行っており、日本神経学会認定 神経内科専門医の常勤医師が在籍し、外来から訪問診療まで同じ医療法人が切れ目なく対応できる体制を整えています。お電話でのご相談も承っており、受付時間や連絡先の詳細は問い合わせフォームのページに掲載しています。フォームからのお問い合わせには、通常当日〜翌営業日中を目安にご返信しています。ケアマネジャーや病院の地域連携室からのご相談も歓迎しており、まずは対応可否だけでもお気軽にご連絡ください。

訪問診療はどんな流れで始まりますか?

訪問診療は「相談→情報共有→初回訪問」という3つのステップで始まるのが一般的で、申し込みから初回訪問までは早ければ数日、通常でも1週間程度が目安です。ステップ1は電話やフォームでの相談で、現在の病状や生活状況、希望する訪問頻度を伝えます。ステップ2はケアマネジャーが付いている場合はケアマネジャーと、入院中であれば病院の地域連携室と情報共有を行い、退院日や必要な医療処置を確認します。ステップ3で医師・看護師が実際に自宅や施設を訪問し、初回の診察と今後の診療計画を一緒に決めていきます。介護保険の申請がまだの方でも訪問診療自体は開始できるケースが多いため、「手続きが整ってから」と先延ばしにせず、まずは相談から始めることをおすすめします。

2026年度改定で在宅医療の体制はどう変わった?

2026年度の診療報酬改定では、24時間365日の往診・訪問看護対応体制や複数の医師・医療機関によるバックアップ体制を手厚く評価する「在宅医療充実体制加算」が新設され、在宅医療を計画的に担う医療機関の体制整備がこれまで以上に重視されるようになりました。これは、訪問診療を行う医療機関に「一人の医師だけで抱え込まない体制」を求める流れの一環で、地域の患者・ご家族にとっては、担当医が急な用事や休診の際にも対応が途切れにくくなるというメリットにつながります。医療機関を選ぶ際は、「医師が1人だけで運営しているか、複数名の体制でバックアップがあるか」「24時間の連絡体制があるか」を確認しておくと、いざというときに安心です。当院も外来の医師と訪問診療の医師が連携する体制のもと、在宅医療充実体制加算の届出に向けた体制整備を進めています。

よくある質問

訪問診療は誰でも受けられますか?

どなたでも受けられるわけではなく、「医学的に通院が困難」と判断されることが前提です。要介護認定を受けている方、末期がんや神経難病の方、認知症が進んで外来受診が難しい方などが対象になりやすい一方、自力で問題なく通院できる方は対象外となるのが一般的です。判断に迷う場合は、ケアマネジャーや医療機関に一度相談してみるのがおすすめです。

訪問診療にはどれくらいの頻度で来てもらえますか?

病状や必要な医療管理の内容によって異なりますが、月1〜2回程度の定期訪問を基本とし、体調急変時にはそれとは別に往診で対応する医療機関が多いです。頻度は診療計画の中で医師と相談しながら決めていくため、はじめに希望を伝えておくと調整しやすくなります。

訪問診療と往診、両方頼めますか?

はい、多くの在宅医療の医療機関では、普段は訪問診療で計画的に健康状態を管理し、発熱や急変など予定外の体調変化があったときには同じ医療機関が往診で対応する形を取っています。24時間の連絡体制があるかどうかは医療機関ごとに差があるため、相談の際に確認しておくと安心です。

介護保険を申請していなくても訪問診療は始められますか?

介護保険の認定が下りていない段階でも、訪問診療自体は医療保険の範囲で開始できるケースが多いです。並行して介護保険の申請を進めることで、訪問看護や訪問介護など他のサービスとも組み合わせやすくなるため、まずは訪問診療の相談と介護保険の申請を同時に進めるとスムーズです。

ケアマネジャーや病院からの紹介でも相談できますか?

もちろん可能です。ケアマネジャーからのご相談や、入院中の病院の地域連携室からの退院前相談も歓迎しており、退院日や必要な医療処置の内容に合わせて初回訪問の日程を調整いたします。ご本人・ご家族からの直接のご相談ももちろん同様に対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

訪問診療は、通院が難しくなった方の自宅や施設へ医師が計画的に訪問する医療で、体調急変時のみ駆けつける往診とは仕組みが異なります。費用は公的医療保険の範囲内で自己負担1〜3割、月2回訪問の目安は1割負担で月々概ね5,000〜1万5,000円程度、相談から初回訪問までは早ければ数日、通常でも1週間程度が目安です。さいたま市南区・南浦和エリアでご家族の通院の負担が気になり始めたら、対象になるかどうか分からない段階でも、まずは問い合わせフォームまたはお電話でお気軽にご相談ください。

院長・内科医國﨑正造からのコメント

訪問診療は「まだ早いかな」「うちはまだ大丈夫」と迷っているうちに、通院の付き添いという形でご家族の負担だけが重くなっていくケースをよく見ます。対象になるかどうかがはっきりしない段階でも、一人や一家族で抱え込まず、遠慮なくケアマネジャーや医療機関にご相談いただければと思います。

参考文献

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を代替するものではありません。症状がある場合は医療機関を受診してください。